2011年8月10日水曜日

過年度遡及修正4【過去の誤謬の訂正①-訂正報告書制度との関係】

過去の誤謬が発見され、その重要性が高い場合には、その訂正は従来どおり訂正報告書によって行うことが一般的であると考えられる。

過去の誤謬が見つかって、その重要性が高いものとする。
この場合、遡及基準においては、修正再表示を行う必要がある(基準第21項)。
一方、金融商品取引法により、記載すべき重要な事項の変更がある場合やその他公益又は投資者保護のため当該書類の内容を訂正する必要がある場合には、訂正報告書の提出の必要があるものとされており、修正再表示を行ったのみでは、当該規制法の要求は満たされない。
【遡及基準の参考記載】
この点、遡及基準では、『本会計基準は、当期の財務諸表及びこれに併せて比較情報として過去の財務諸表が表示されている場合を前提に誤謬の取扱いについて定めており、既に公表された財務諸表自体の訂正期間及び訂正方法は、各開示制度の中で対応が図られるものと考えられる』(基準第65項なお書き)としており、訂正期間・訂正方法については、各開示制度(この場合、金商法)の定めの中で対応する必要があることが示されている。
【その他参考記載】
また、参考になるのは、新起草方針に基づく改正版】「監査基準委員会報告書第63号『過年度の比較情報-対応数値と比較財務諸表』」の公表についての前書文のなお書き。
(この報告書は、監査人が財務報告を監査する上で、財務諸表に含まれる比較情報について意見表明をするのに十分かつ適切な監査証拠を入手するための監査手続き等について記載したもの)
そこでは、『なお、会計基準上、過去の財務諸表に重要な誤謬があった場合には、修正再表示を行うことになっております。一方、金融商品取引法上は、重要な事項の変更等を発見した場合訂正報告書の提出が求められていることから、一般的には過去の誤謬を比較情報として示される前期数値を修正再表示することにより解消することはできないと考えられます。したがって、本報告書における過去の誤謬の修正再表示に関する要求事項等については、金融商品取引法の監査においては、通常は適用されないことにご留意ください。』としている。
すなわち、監査人においても、「修正再表示に先だって訂正報告書が提出されることを前提としている」ということが読み取れる。

(参考URL)
トーマツe会計情報-訂正報告書
http://www.tohmatsu.com/view/ja_jp/jp/knowledge/ek/glossary/accounting/article/0215ea73cbfef110VgnVCM100000ba42f00aRCRD.htm
新日本有限責任監査法人-解説シリーズ「会計上の変更及び過去の誤謬の訂正に関する会計基準」
http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/retroactive-adjustment/2010-07-29-02.html

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