2011年7月20日水曜日

過年度遡及修正2【会計上の見積りの変更の取扱い】

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いわゆる原則的な取扱と注意すべき事項についてメモ。

会計上の見積りの変更に関する取り扱いは、原則プロスペクティブ方式であり、将来に向かって修正。
なお、見積差額については、第55項の文面によらず、当該見積時と同じ計上区分・段階損益に計上する(第55項は、計上区分の例示であり、限定列挙でない)。

①『会計上の見積りの変更は、当該変更が変更期間のみに影響する場合には当該変更期間に会計処理を行い、当該変更が将来の期間にも影響する場合には将来にわたり会計処理を行う』(基準第17項)
②『なお、わが国の従来の取扱いでは、企業会計原則注解(注12)において、過年度における引当金過不足修正額などを前期損益修正として特別損益に表示することとされている。』(基準第55項)
③『本会計基準においては、引当額の過不足が計上時の見積り誤りに起因する場合には、過去の誤謬に該当するため、修正再表示を行うこととなる。』(基準第55項)
④『一方、過去の財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき最善の見積りを行った場合には、当期中における状況の変化により会計上の見積りの変更を行ったときの差額、又は実績が確定したときの見積金額との差額は、その変更のあった期、又は実績が確定した期に、その性質により、営業損益又は営業外損益として認識することになる。』(基準第55項)

【memo
上記④の記載により、「過去、特別損失に計上していた会計上の見積り(当時入手可能な情報に基づき最善な見積りを行っている)に、履行差額や見積り誤差が発生した場合は、営業損益又は営業損益に計上しなければならないのか?」という問題が出てきているそうだ。
これについて、先日の経営財務(No.3024 平成23年7月18日)に「前期、震災により特別損失として計上した災害損失引当金の見積と実績の差額はどの段階損益で表示すればよいのか?」という内容の特集記事があった。
それによると、以下①~③のとおり、特別損益にて計上することは否定されないようだ。
以下は、内容の抜粋。
①「第55項の取扱いは、貸倒引当金などについて、毎期最善の見積りがされているためその修正差額は計上的な項目となるはず。55項は、貸倒引当金戻入などの前期損益修正を特別損益で処理する実務がなくなった」ことを示すものであり、
②「引当金の見積差額について、すでに計上した引当金と同じ性質・計上区分で処理することを示すもの」(第55項は例示である)
③「企業会計原則注解注12の特別損益計上要件を満たしており、また、JICPA会長通牒(330日)においても特損計上を認めている臨時性を持った引当金であるため、当期においても、(金額の多寡や案件にはよるが)特別利益等として計上することは否定されない。」
とのことである。
特に②のコメントが参考になりそうだ。

2011年7月14日木曜日

退職給付に関する会計基準(ED)のメモ7(検討状況)

第227回企業会計基準委員会(H23/6/30)における退職給付専門委員会における検討状況のメモ

適用時期について議論されたようだ。
Finalでは、強制適用時期はEDから1年遅れとなる見込み。

①未認識項目の一括負債計上
 強制適用:平成2441日以降開始する事業年度の期末から(ED対1年遅れ)
 早期適用:平成2441日以降開始する事業年度の期首から

②退職給付債務及び勤務費用の計算方法
 強制適用:平成2541日以降開始する事業年度の期首から
      (ただし、当該期首からの適用が困難と認められる会社は
       平成2641日以降開始する事業年度の期首から、注記が条件)
 早期適用:平成2441日以降開始する事業年度の期首から

2011年7月6日水曜日

過年度遡及修正

以下の①~④の条件の場合、前年度の遡及修正仕訳はどのようになるか?
また、④の条件を「前年度の申告の修正等を行わない」とした場合と仕訳に差異があるか?
①前年度の財務諸表において費用の過少計上がある。
②当該費用は税務上損金算入されるものである。
③当該過少計上は、重要な誤謬であり、前年度財務諸表を遡及修正する。
④前年度の申告の修正等を行う。

(処理)
前提:過少計上であった費用額100、税率40%
◆パターン1 「前年度の申告の修正等を行うとした場合」
前年度の法人税・住民税・事業税の金額は、損金算入後の課税所得により計算される。
したがって、前年度財務諸表に適用する仕訳は、
費用100/未払100、法人税等40/未払法人税等

◆パターン2「前年度の申告の修正等を行わないとした場合」
前年度の法人税・住民税・事業税の金額は、従来の課税所得により計算される。
しかしながら、当該過少計上による税務上の所得と会計上の利益の差について、繰延税金負債を認識する必要がある。
したがって、前年度財務諸表に適用する仕訳は
費用100/未払100、法人税等調整額40/繰延税金負債40

パターン1とパターン2でこのような差異が出てくるのではないかと思われるが、裏付けとなる記載を発見することができない。