2011年4月25日月曜日

退職給付に関する会計基準(ED)のメモ2 【未認識債務のBS即時認識】

今回改正の主要項目の1つ。
未認識債務(未認識数理計算上の差異・未認識過去勤務債務等)をB/.S上即時認識する。
「即時認識したからといってP/L上の影響があるわけではない。」
というのが要点だろうか。

【設例】
期末退職給付引当金100
未認識債務      150
税率           40%
◆仕訳
初年度
①従来債務の科目振替
  退職給付引当金     100  / 退職給付に係る負債 100
②未認識債務の即時認識税効果込み
  繰延税金資産             60  / 退職給付に係る負債 150
  退職給付に係る調整額   90  
  ※ 退職給付に係る調整額は、その他包括利益(いわゆるOCI)
次年度以降
③PLにおいて未認識債務を従来どおり償却(リサイクルあり)

2011年4月22日金曜日

退職給付に関する会計基準(ED)のメモ1 【注記】

現在EDまで出ており、3月Finalの予定だったが、遅れている様子の退職給付。
さすがにそろそろだと思うが、頭の整理のためにメモ
EDでは、かなり開示の拡充が図られている。
注記項目がかなり増えている。
5項目新設・4項目拡充とけっこうボリュームがありそう。
ただし、内容はあまり大したことはなく、従来のワークシートで対応できるものが多い。

【提案されている注記項目】

- ①退職給付の会計処理基準に関する事項
- ②企業の採用する退職給付制度の概要
★ ③退職給付債務の期首残高と期末残高の調整表
★ ④年金資産の期首残高と期末残高の調整表
☆ ⑤退職給付債務及び年金資産とB/Sで計上された退職給付に係る負債(or資産)への調整表
☆ ⑥退職給付に関連する損益
★ ⑦その他の包括利益で計上された未認識債務当期発生額及び組替調整額の内訳
★ ⑧その他の包括利益累計額に計上された未認識債務の内訳
★ ⑨年金資産に関する事項(年金資産の主な内訳を含む)
☆ ⑩数理計算上の計算基礎に関する事項
☆ ⑪その他退職給付に関する事項(翌期の掛金額・給付額など)

(記号)
★新たに追加される予定の注記項目
☆一部拡充される予定の注記項目
-従来と同じ注記項目

2011年4月18日月曜日

キャッチアップ方式とプロスぺクティブ方式

ロスペクティブ方式・キャッチ・アップ方式・レトロスペクティブ方式なる用語を目にするようになった。
過年度遡及修正の関係で登場することが多いようだが、用語の理解ができていなかったので、今回整理。
改めて見てみると、当社グループ内でも処理方法が混在している。
整理する必要がありそうだ。

【用語の定義】
①プロスペクティブ方式
新しい見積りと今までの見積りとの差を将来期間で修正する方式
②キャッチアップ方式
新しい見積りと今までの見積りとの差を見積りの変更を行う期間1期で修正する方式
(初めから新しい見積りでやった場合の額まで追いつかせる方式)
③レトロスペクティブ方式
過年度遡及修正


【設例】

ある固定資産:取得価額100、耐用年数10年、定額法償却
この固定資産について、償却開始後 3 年目の期末に耐用年数を10 年→5 年に変更。
このとき、①プロスぺクティブ方式②キャッチアップ方式による修正計算は以下のようになる。

①プロスぺクティブ方式
・今までの償却スケジュールによる償却額は10/1年(=100/10)
3 年目期末時点の資産簿価=70 (100-(10×3))
・残り2 年で残りを償却(4年目以降、償却額を35/1年に修正)
したがって、簿価ゼロとなる5年目末までの償却額は10・10・10・35・35

②キャッチ・アップ方式
・今までの償却スケジュールによる償却額は10/1年(=100/10)
3 年目期末時点の資産簿価=70 (100-(100/10×3))
・耐用年数が初めから5 年だった場合の償却スケジュールによる償却額は20/1年(=100/5)
・耐用年数が初めから5年だった場合の償却スケジュールによる資産簿価は40(100-(20×3))
3 年目期末時点の資産簿価を70 →40 へ30 を償却)
・残り2 年で全額償却【4 年目以降、20/1年に修正】
③レトロスペクティブ方式
省略(初めから全部なおす)
【雑記】
接頭辞 pro:前向き、将来の retro:後ろ向き、逆側の
プロスペクティブ・レトロスペクティブの検索結果は医療研究に関するページ多数。
プロスペクティブ調査:現在から将来に向かってデータを集める手法
レトロスペクティブ調査:現在から過去にさかのぼってデータを集める手法
例えば、レトロスペクティブ調査により、症例研究を行い、どのような治療法が有効かを推し量り、
プロスペクティブ調査により、その治療の有効性を確かめるという言い方をするようだ。


【参考資料】
過年度遡及修正の論点整理 大和総研2007年7月25日
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/accounting/07072501accounting.pdf


 

2011年4月4日月曜日

「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」

「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」が2011年3月31日に公布、施行された。

適用は2011年4月1日以後開始する事業年度。

以下は改正点の概要。
①四半期財務諸表関係
全体的に大きく簡素化
なんといっても会計期間がなくなったのが大きい。

四半期(連結)損益計算書については累計期間のみ
四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書については第2四半期のみ
セグメント情報や1株当たり純利益なども累計期間のみ
※1それ以外は任意開示。
※2記載不要、任意記載の注記多数あり。
※3会計方針の変更等(過年度遡及注記記載可能性あり)

2.中間財務諸表関係
幾分変更。

従来の3期比較(前中間、当中間、前年度)が2期比較(前年度、当中間)に変更。

3.四半期報告書(財務諸表以外)他
幾分簡素化。

「主要な経営指標等の推移」:財務諸表として開示していない情報は原則不要。
※1 1株当たり純利益は従来どおりで累計・会計期間分が必要(有報も同じ)。
※2 「生産、受注及び販売の状況」などが開示不要に。

(注)本稿は公認会計士武田雄治氏のblog以下のエントリーを個人的なメモのためほぼ転載したもの。
■CFOのための最新情報■
http://blog.livedoor.jp/takeda_cfo/archives/1618451.html

その他参考URL
金融庁:http://www.fsa.go.jp/news/22/sonota/20110331-6.html